2018年06月09日
林道ダブル走行 南蔵王林道県境~七ヶ宿中心部編
峠を少し下ると行く手が二つに分かれます。
左は江戸の昔、宮城県から上山に盗水し、今も農業用水路として利用している横川堰につながっています。この堰は他県から水を失敬している日本でただ一つの農業用水路です。
余談ですが、以前、勤務先でこの水路の大規模改修工事の設計発注が行われ、現地調査で取水口まで連れて行ってもらったことがあります。もちろん、車で行けるのは、ずーと手前まで、トンネルから水が流れ出ていました。そこから取水口までは、しばらく歩かなければなりません。大きな沢二つ目に取水口がありましたが、驚いたことに手前の沢から水を取らずに、この沢を水路で横断して二つ目の沢から水を取っていました。多分、手前の沢は夏場水が少ないのでしょう。今のような測量器械がなかったころの江戸時代に蝋燭の明かりで測量をしていたというのです。昔の人々の知恵に驚かされました。
右は宮城県七ヶ宿町硯石(すずりいし)につながる横川林道(舟引林道とも言われているようです)です。
振り返ると蔵王・刈田岳が見えます。
奥羽山脈から外れた南蔵王の名峰・屏風岳、南屏風岳、不忘山(ふぼうさん)の山々とともに横川林道は南下していきます。
下りはかなり路面状態が悪く、上ってくるのは、かなり難儀と思われます。横川まで下ると、走りやすくなります。
上の写真には昔の林道の橋の橋脚と思われるコンクリート工作物が見られます。手前に見えるのはカツラの木です。
横川のロケーションはとてもよく、夏は涼しそうですし、秋の紅葉なども期待が持てます。また、渓流釣りができそうな支流がたくさんありました。遅山仙人は渓流釣りの名手で、釣りに連れて行くと言っていますが、まだ、一度も連れて行ってもらえません。
その昔、タケノコ取りのついでに車で舟引山を越えて横川まで下ったことがあります。この時は、横川林道の路面は岩盤のむき出しで、これ以上進むと岩に車のデフ(ディフェンシャルギアボックス)がぶつかり壊れて走行不能になる危険があると思い引き返してきたことがあります。あれから、何十年たったのでしょうか。それから横川林道は通れないという印象だけが強く、バイクで走ったという情報を得て、それならカブでも通れるのではないという軽い気持ちで今回走ったのでした。
林道の終点は宮城県七ヶ宿町硯石になりますが、その少し手前が南蔵王不忘山の登山口になります。不忘山は太平洋戦争時代の末期に米軍の重爆撃機B29が3機墜落したことで有名な場所です。不忘山は奥羽山脈から外れて南に突き出した最初の山です。米軍のパイロットも、この山の存在はわからなかったのでしょう。
ここから硯石には行かず、砂利道にお別れして、吉沼、横川集落を過ぎて七ヶ宿町中心部に向かいました。
この交差点の左が横川集落で不忘山の登山口につながっています。まっすぐ行くと、長老湖、硯石を経て遠刈田温泉へと向かいます。右は国道113号に出て左折すると、まもなく、七ヶ宿ダムになります。
そして手前が、これから向かう七ヶ宿で唯一?信号機のある交差点になります。
中心街にふさわしく交差点の手前に「番所」があります。七ヶ宿(しちがしゅく)は江戸時代に青森、秋田、山形、宮城県の七ヶ宿、福島の国見で奥州街道に道を譲る羽州街道の宿場町として栄えました。
このため、七ヶ宿町のあちらこちらには江戸時代の屋号や呼称が書かれた木札や看板が見受けられます。
町で唯一の信号機のある交差点。ここからまっすぐ進むと二本目の林道へ進んでいきます。